導入事例:アドホック新宿『reDine新宿』(セミナー再録)

「飲食店向けのコワーキング」というコンセプトは成立するのか。初期費用20万円、完全売上歩合という条件で出店者が殺到する次世代型フードホールの全貌を紹介します。

飲食店向けのコワーキングという、先進的なコンセプトで運営されているfavyのRaas事業。それは、出店テナントにとってのリスク軽減だけではなく、多くの商業施設が抱える「空室」や「マンネリ化」という課題に対するソリューションにもなっていました。アドホック新宿ビルに開業したシェア型フードホール『reDine(リダイン)新宿』を事例に、favyの「RaaS(Restaurant as a Service)」事業を統括する、佐藤正児が解説します(事例紹介セミナーを編集して再録)。

シェア型フードホールreDine新宿視察&交流会

佐藤 正児:株式会社favy RaaS事業管掌執行役員

小学校の教諭から、遊休スペース収益化コンサルティングなどを経て、株式会社トリドールホールディングスのブランド戦略部長として、丸亀製麺のブランド強化に従事したのち、現職に。

次世代の「シェア型フードホール」とは

reDine新宿店内

favyが提唱する「シェア型フードホール」は、従来のフードコートや横丁とは一線を画す、新たな飲食店運営モデルです。最大の特徴は、施設側がホールスタッフを配置し、お客様が席に座ったままフルサービスを受けられる点にあります。フードコートのように、ブザーが鳴るたびに料理を取りに行く手間はなく、レストランのようなリラックスした体験と、多様な店舗の料理を一度に楽しめる「いいとこ取り」を実現しています。

このモデルを支えているのが「飲食店向けのコワーキングスペース」というコンセプトです。favyはデベロッパーから区画を借り受け、そこに複数のシェフや飲食店を誘致するRaas(Restaurant as a service)事業を展開しています。驚くべきは、出店者と結ぶのが一般的な「賃貸借契約」ではなく、「サービス利用契約」であるという点です。これにより、固定の賃料に縛られない柔軟な運営が可能となっています。

施設内では、モバイルオーダーが「背骨」としての役割を果たしています。複数の店舗が入居していても、お客様は1つのQRコードから全ての店舗のメニューを横断して注文でき、会計も最後に一括で済ませることができます。このシステムがあるからこそ、異なるブランドの店舗が1つの空間にシームレスに同居し、高い顧客体験価値を提供できているのです。

店舗運営イメージ

出店希望が殺到する「募集力」と「低リスク設計」の裏側

デベロッパーにとって大きな悩みであるリーシングにおいて、favyは圧倒的な実績を誇っています。全国で約100店舗分の出店枠を保有していますが、これに対し年間で1,000件を超える出店エントリーが集まっています。これほどまでに料理人や経営者が集まる理由は、「初期費用20万円、完全売上歩合」という破格の条件にあります。

通常、都心で飲食店を出すには数千万円単位の投資が必要ですが、favyのモデルでは厨房機器がセットアップされた状態で提供されるため、出店者は身一つに近い状態でチャレンジが可能です。また、固定家賃や最低保証賃料がないため、売上が上がらない時期の赤字リスクが極限まで抑えられています。この低リスク設計が、実力はあるが資金力が乏しいという状態の、個性的な店舗を惹きつけています。

デベロッパーが「ハード(建物)」に、favyが「ソフト(システム・運営)」に投資する「共同プロジェクト」としての枠組みも非常に合理的です。出店者は料理やサービスの質を上げることに100%集中できる環境が整っています。その結果、話題性の高い店舗が揃い、施設全体の集客力と収益性が向上するという好循環が生まれています。

デジタルが実現するマーケティング成果の可視化と「売上の最大化」

シェア型フードホールのもう一つの大きな武器は、「共通席」をベースとした売上の最大化ロジックです。一般的な飲食店街では、特定のお店の前に行列ができている一方で、隣の店はガラガラという機会損失が頻繁に起こりえます。しかし、たとえばreDine新宿では全ての席を共通化することで、お客様は空いている席に座りながら人気店の料理を注文できるため、施設全体の稼働率を極限まで高めることができます。

さらに、favyは自社でデジタル広告の運用機能を持ち、各店舗のプロモーションを強力に支援しています。特筆すべきは、モバイルオーダーと連動することで、「広告費をいくら投入し、実際にいくら売上が上がったか(ROAS)」を正確に可視化している点です。新宿の事例では、ROASが900%を超え、直近では2000%(広告費の20倍の売上)となるパターンも見つかるなど、ECサイト並みの精度でリアル店舗の集客をコントロールしています。

集計されたデータは、曜日や時間帯ごとの空席対策にも活用されます。例えば、当初弱かった土日の集客を、デジタル広告のクリエイティブ調整によって平日を上回る水準まで引き上げることに成功しています。また、特定のドリンクメニューを強化するタブの設置や、100円ビールキャンペーンといった施策も、データに基づき迅速に実行・検証されています。

販促の結果

鮮度を保ち続ける「店舗の入れ替え」とPDCAサイクル

商業施設の賑わいを維持するために重要なのが「店舗の鮮度」ですが、favyのモデルはこの点において非常にシビアかつスピーディーです。出店者との契約には、3ヶ月連続で売上目標に達しない場合に退去対象となる条項が盛り込まれています。これは常に魅力的なフロアであり続けるための「新陳代謝」を仕組みにしたものです。

実際に新宿の施設では、オープンからわずか数ヶ月で売上が振るわない店舗を入れ替え、空室期間をほぼゼロにしたまま新店舗を導入しています。常に1,000件以上のウェイティングリスト(出店候補者)を抱えているfavyだからこそ、このスピード感のある入れ替えが可能です。デベロッパーにとっては、一度リーシングして終わりではなく、常にフロアが最適化され続ける安心感があります。

また、単に売上だけでなく、SNSの運用状況や接客姿勢なども評価シートで可視化されており、店舗側も「選ばれ続ける」ための努力を怠りません。頑張る店舗にはfavyが広告や運営面で伴走し、それでも改善しない場合は速やかに次の店舗に席を譲る。この健全な緊張感が、フロア全体の活気を生み出し、お客様を飽きさせない魅力に繋がっています。

テナントの変遷

まとめ:飲食フロアの収益を最大化し続ける仕組み

現在、favyのシェア型フードホールは広島、富山、京都など全国17物件まで広がっています。広島の285坪に及ぶ大規模リニューアルから、オフィスビルの地下、さらにはグラングリーン大阪のような最先端の街づくりまで、その導入形態は多岐にわたります。「話題性の創出」と「苦戦区画の改善」。その両方に対応できるfavyのRaaSモデルは、これからの商業施設運営において欠かせない要素になると考えています。

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直営店

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一般には、開業から3年で70%の飲食店が潰れていると言われています。
favyは「飲食店が簡単に潰れない世界を創る」ため、
自社で飲食業態やフードホールを運営し、収益最大化のノウハウ・テクノロジーを日々生み出しています。