かつての「ゴーストタウン」を「初期費用20万円」で応募が殺到する場へ変えた、非常識な再生戦略の舞台裏を明かします。
かつて世界的なバーガーチェーンさえも撤退し、メディアから「シャッター街」とまで報じられた商業施設が、なぜテナント応募の殺到する横丁へと変貌したのか。自社の飲食フロアの運営に頭を悩ませるデベロッパー関係者にとって「これまでの常識を覆す」事例をご紹介します。
このページでは、favyの「RaaS(Restaurant as a Service)」事業を統括する、佐藤正児による事例紹介セミナーを編集して再録します。

佐藤 正児:株式会社favy RaaS事業管掌執行役員
小学校の教諭から、遊休スペース収益化コンサルティングなどを経て、株式会社トリドールホールディングスのブランド戦略部長として、丸亀製麺のブランド強化に従事したのち、現職に。

かつてのカレッタ汐留は、コロナ禍によるオフィスワーカーの減少という直撃を受け、テナントの半数が撤退するという深刻な状況にありました。全28区画中16区画が空室となり、大手ニュースメディアからも「ゴーストタウン化」と揶揄されるほど、デベロッパーにとっては極めて困難な局面でした。業界の誰もが出店を躊躇するような逆風の中、favyはこの物件の空き区画に着目し、再生への挑戦を開始しました。
favyは空き区画のうち6区画を「シェア型フードホール」として運営することを決定し、2023年8月から順次店舗をオープンさせていきました。その結果、募集開始からわずか半年で全15店舗の入居を確定させ、さらには300件近い出店待機(ウェイティング)リストを作るという、従来のリーシングでは考えられない実績を出しました。現在、この「汐留横丁」は265席がフル稼働し、平日には多くの客で賑わうフロアへと生まれ変わっています。
この劇的な変化は、単なる偶然や一過性のブームではありません。ここには、これまでの不動産賃貸の常識を打ち破る「3つの非常識な戦略」があります。それは、「非常識な契約条件」「非常識な運用方法」「非常識な募集方法」です。これらがどのように機能し、出店者とデベロッパー双方にメリットをもたらしたのか、その詳細を掘り下げていきます。
まずひとつ目が、出店者が抱える経済的リスクを徹底的に排除した契約内容です。通常、商業施設への出店には数千万円単位の初期投資が必要ですが、favyが提示した条件は「初期費用20万円、施工費不要」という、飲食業界の常識を根底から覆すものでした。ここには、施設側が施工済みの物件を提供し、出店者は「レシピとサービス」さえあれば即日営業を開始できる、シェアオフィスのような仕組みがあります。
さらに家賃体系についても、固定家賃を廃止し、売上に連動した「完全歩合制」を採用しています。これにより、売上が立たない準備期間のコスト負担がなくなり、店舗側は心理的にも非常に参入しやすい環境が整いました。また、契約期間も3ヶ月単位という柔軟さで、退去する場合でも原状回復は不要という条件になっています。この「始めやすく、万が一の際も撤退しやすい」構造が、実力あるシェフや新しい挑戦をしたい店舗にとって、何よりの魅力となったのです。
こうした破格の条件では「質の低い店舗が集まるのではないか」という懸念も生じますが、favyは直営店運営のノウハウを活かした厳しい選別を行っています。結果として、資金力は乏しくとも志の高い「隠れた名店」や、少人数で運営する話題の店舗などを全国から見出すことに成功しています。出店者にとっては「低リスクな挑戦の場」となり、デベロッパーにとっては「有力なテナントが集まる強力なマグネット」として機能しているのです。

これほど低いハードルで出店を募りながら、いかにして収益性とフロアの賑わいを維持しているのでしょうか。その鍵を握るのが、favyが独自に開発・提供している店舗DXシステムです。「汐留横丁」の最大の特徴は、フロアのほぼ全域を共通席とし、それを支える商業施設向けモバイルオーダーシステムを導入している点にあります。顧客はどの席に座っても、QRコード一つでフロア内にある全15店舗のメニューを横断して注文でき、決済も一度で完了させることができます。
このデジタル化により、各店舗が専用の客席や豪華な店構え(ファサード)を構える必要がなくなりました。その結果、本来なら1区画に1店舗しか入れないスペースに、複数の店舗を効率的に配置するという「極めて高い面積効率」を実現したのです。実際にカレッタ汐留では、6区画分に15店舗を誘致することに成功しており、デベロッパーにとってはフロア全体の稼働率と売上を最大化できる、極めて合理的なモデルとなっています。
また、このモデルはデベロッパーが「ハード(箱)」を、favyが「ソフト(DX・運営・リーシング)」を担う、一種の共同プロジェクトとして運用されています。共通経費は各店舗で按分され、インフラコストも一括管理によって最適化されています。このように、デジタルとアナログを融合させて無駄を削ぎ落とすことで、低コスト運営と高い顧客体験を両立させているのです。

リーシングの手法もまた、従来のデベロッパーの常識とは一線を画しています。favyは電話営業や対面での「一本釣り」といったアナログな手法を一切行わず、自社メディアやWeb上のランディングページ(LP)を活用したデジタルマーケティングのみで出店者を集めています。1件あたりのエントリー獲得単価(CPA)は約6,350円という、圧倒的な効率の良さを実現しています。
この手法の最大の利点は、「常に募集をかけ続けられる」という点にあります。一般的な賃貸契約では、区画が埋まっている時に募集をかけることは困難ですが、シェア型という特性上、常に「ウェイティングリスト」を抱えることが可能です。これにより、万が一店舗が退店しても、即座に次の候補者を補充できる「バックアップ体制」が常に整っています。
さらに、自社メディア「favy」を活用した記事配信も強力な武器となっています。メディアとしての発信力を使うことで、出店検討者に対して「汐留横丁」の魅力を多角的に伝えることができ、全国規模で質の高いエントリーを自動的に生成し続けています。ネットの力を最大限に活用したこの「24時間365日の自動リーシング」こそが、フロアの鮮度を保ち、賑わいを継続させる原動力となっているのです。

favyのサービスは、単なる「場所貸し」や「仲介」に留まりません。自社メディアからモバイルオーダーまで一貫してDX化されたことにより、どの記事を見て来店し、どの店舗のどのメニューを注文したのかといった顧客行動が全て可視化されます。このデータをデベロッパーと共有することで、「どの時間帯に、どんな施策を打てばフロアがさらに賑わうか」という戦略的な議論をデータに基づいて行うことが可能になります。
実際に、このデータを活用した集客支援策として、100円ビール企画やマグロの解体ショー、さらにはメーカーとタイアップしたポップアップイベントなどが次々と実施されています。例えば100円ビール企画では、来客数が通常の3倍にまで跳ね上がり、フードの注文も増えることでフロア全体の売上を大きく押し上げる結果となりました。こうした「攻めの運営」をデベロッパーと一緒に取り組める点も、favyがパートナーになったことの大きなメリットです。
また、万が一テナントが決まらない場合でも、favy自身が直営店を出店するというバックアッププランも用意されています。全国で28店舗もの飲食店を自ら経営しているからこそ、現場の痛みや運営の難しさを誰よりも理解しており、それが高い運営品質とトラブル対応力に繋がっています。

自社の飲食フロアに空きが目立ち、活気を取り戻したいと考えているデベロッパーにとって、favyのRaaSモデルは、最小限のリスクでフロアをリニューアルし、データを活用した持続可能な運営へとシフトするための最適解のひとつと鳴るでしょう。既存の区画に手を付けず、一部の空きスペースからスモールスタートできる柔軟性も、導入を検討しやすいポイントです。
客席もキッチンもシェアするフードホールの、企画・施工・リーシングをまるごとおまかせ!にぎわう横丁を作ります
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飲食フロアの複数店舗を1つのレストランに変えて、接客から精算まで効率化した上で、来店計測・ROAS評価のデータを獲得します。
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オフィスビルや商業施設に最適な飲食業態を自社で運営。出店先も募集中です
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favyが運営するフードホール
18
favy直営店
17
一般には、開業から3年で70%の飲食店が潰れていると言われています。
favyは「飲食店が簡単に潰れない世界を創る」ため、
自社で飲食業態やフードホールを運営し、収益最大化のノウハウ・テクノロジーを日々生み出しています。